食道がんとは
食道がんは、食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。食道は胸部の深い位置にあり、周囲に重要な臓器が隣接しているため、進行すると治療が困難になることも少なくありません。また、食道には漿膜(しょうまく:一番外側の膜)がないため、がんが周囲に浸潤しやすいという特徴があります。
早期発見できれば内視鏡治療で根治が望めますが、初期症状が乏しいため多くは進行してから発見されます。食道がんは進行度により予後が大きく異なるため、早期発見が極めて重要です。
食道がんの原因
食道がんの発生には、喫煙と飲酒の習慣が大きく関与しています。両方の習慣がある人は、どちらもない人と比較して数十倍以上リスクが高まるとされています。特にアルコールを分解する酵素の活性が低い人は、食道がんの発生リスクが高いです。
また、熱い飲食物の摂取も食道粘膜を慢性的に刺激し、発がんリスクを高めます。野菜や果物の摂取不足、塩蔵食品や加工肉の多食も危険因子です。他にも、バレット食道や頭頸部がんの既往がある人もリスクがあります。
食道がんの初期症状は?
症状チェックリスト
食道がんの初期は無症状のことが多く、症状が現れた時には進行している場合があります。
食べ物を飲み込む時の違和感やつかえ感は重要な症状です。初期は固形物のみ、進行すると液体でもつかえるようになります。胸骨部の痛みや背部痛、声のかすれや体重減少、慢性的な咳なども認められます。これらの症状は徐々に進行するため、軽微な違和感でも長期間続く場合は検査を受けることが重要です。
食道がんになりやすい人
以下の特徴を持つ人は、食道がんの高リスク群として定期的な検査が推奨されます。
- 喫煙者
- 習慣的に大量の飲酒をする人
- 飲酒で顔が赤くなる体質の人
- 熱い飲食物を好む人
- 頭頸部がん(咽頭がん、喉頭がんなど)の既往がある人
- バレット食道などの食道疾患がある人
食道がんの検査
食道がんの診断には、内視鏡検査が有効です。通常の観察に加えて組織を染色することにより早期がんの発見率が向上します。特殊な光による観察や拡大内視鏡により、微小病変の発見も可能です。必要に応じて疑わしい病変から組織を採取し、確定診断を行います。
食道がんの治療
食道がんの治療は、病期(ステージ)や全身状態、年齢などを考慮して決定します。早期がんから進行がんまで、それぞれに適した治療法を選択します。
内視鏡治療
早期の食道がんは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により根治が望めます。食道を温存でき、機能も保たれるため、これまでのQOL(生活の質)が維持できます。
外科的手術
深く浸潤している場合やリンパ節に転移している場合は、食道切除術とリンパ節郭清を行います。近年では胸腔鏡や腹腔鏡を用いた低侵襲手術もよく行われています。食道切除後は胃管や腸管を用いて食道を再建します。手術の合併症リスクが高い傾向にあるため、術後も継続的な全身状態の評価が重要です。
手術が必要な場合は、速やかに提携病院をご紹介させていただきます。
化学療法・放射線療法
手術が困難な場合や、臓器の温存を希望する場合は、化学療法と放射線療法の併用を選択します。外科的手術の前に化学療法や放射線療法を行い、腫瘍をある程度まで縮小させてから手術するケースもあります。

